ラボログ

プロとアマチュア

里の旅だより

昨日の朝早く、何気なくNHKをつけたら残間里江子さんが故郷、仙台を訪ね貧しかった幼少のころの話を、ご自身が暮らしたと同様に近いという、現在は空き家のみすぼらしい長屋の玄関先に腰かけ「語り」を続けていた。

彼女はボクよりも年上だが、あまりにも境遇が似通っていたので、思わず最後まで見入ってしまった。

ある知人が、残間さんと会って話したことがあるので、直接の伝文で「スゴイ人」というのは知っていたが、出会いの達人であること、出会いを明日へのチカラにエネルギー変換させる「プロ」であることが痛いほど理解できた。

成功を収めつつあった東京・原宿の個人事務所時代、その事務所前でバッタリ出会った「同級生」とのくだりなど、最高だった。

こちらも、少々は出会いの達人との認識でいたが、プロ級もしくはそれ以下・・ アマチュア並みの出来栄えであったことを再認識させられ、気合が入った。

結局、アマチュアの仕事というのは後姿がへっぴり腰で、何をやらせてもそこはかとなくビンボー臭い。事務ワークの合間・合間に汗を流す「草刈」や「枯草運び」は、その最たるもののように思えるが、やはり・・汗はかかねばならぬ。

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気合が入っても、こんなものだ・・だれにも見せたくない姿。

カワイイ滝

里の旅だより

このマチの楽しみの一つに、ごく普通のあんなとこ、こんなところにこつぜんと滝が出現する、というのがある。

ロッジきよかわにアプローチするすぐ直前の小さな橋、右手後方には、高千穂峡を小さくしたような無名の滝がある。この風景に気付く人は少ないが、誰も知らない「私の滝」として、心ひそかに「ロッジの滝」と名付け、一人楽しんでいる・・

もう一つ・・ツリー型ハウスから川向うを見ると、雨の日やその翌日限定で、これまた小さな白糸の滝のような風景が人知れず出現する。もちろん無名の滝で、こちらには、「風雅の滝」と名付け、その落水を密かに楽しんでいる。

この日の雨量は少なく、風雅の滝は傘をさしているオッサンの後姿、その向こうにかすかに確認できるのみであるが、強い雨の翌日、晴れたりすれば・・風雅の滝は魅力を増す。

日光・華厳の滝や箕面の滝、このマチの有名な瀑布、原尻の滝や沈堕の滝の魅力は一見すれば誰もが納得するが、人知れず流れ落ちるこのような小さな滝も、いじらしくてカワイイ。

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傘をさしているオッサンの後姿は小さくはあるが、カワイクもない。同じように「人知れず」ではあるが、こっちとは大違いである・・

すきま商品

里の旅だより

京阪神の京は京都。都市型観光というよりも古都観光(京都人はこの表現を使わない。なぜなら、ニッポンの“新しいことは京都から”の自負があるから)で世界的に有名。「神」のミナト神戸も同様。では「阪」の大阪はどうか?

20年前、大阪都心で大阪初のペンションをはじめたころの大阪は、観光にはまったく頓着がなく、「何を考えているのか!」と、多くの人から質問攻めにあった。当時、「商都大阪」では、観光を語ることはナンセンス。大阪に観光など必要ないという財界人まで存在したほどだ。

ところが、1年もすると好感度・・いや、けったいな感覚を好むメディア人を中心に興味を示してくださる人々が集まりはじめた。その中の代表格が、こんにちまで途切れることなくお付き合いしている毎日新聞・大阪本社社会部の松井宏員記者。

この人、昨年は記者として栄えある賞も受賞したし、西川きよしさんの奥様・ヘレンさんが料理を披露する超人気連載も担当されたりと、いまでは少々メジャーになってしまったが、当時はこの人そのものが「けったいな人」で「けったいでんなぁ~」という、大阪にしかあり得ないようなスカタンな連載を企画・担当していた。

彼とはじめて対面したのは、その「けったいでんなぁ~」の登場人物にと、ボクを取材しに来た時のこと・・彼の名刺を見て驚いた・・毎日新聞社会部「すきま商品企画部」と書いてあった。当時、バブル期もすでに遠く、阪神淡路大震災直後、「人々の関心は大ネタにあるのではなく、心のよりどころとなるような人と人とのすきまに隠れている」との理屈からくるしゃれっ気の強い、オリジナル名刺だった。

だから彼は誰よりも、どの記者よりも早く、「すきまを」見つけ、「けったいな人」を探し当て、紙面化することに成功した。彼が言うには・・「すきまは一日にしてならず!日々見えないところで精進することが“すきま商品”成功の秘訣」だと。含蓄がある。

で、私たちの精進・・草刈は自らの手で! ほったらかしにされた時期が長いこの地では、草がぼうぼう。日常業務の合間や休日に、当番制で時間を見つけ愛情込めて草刈することに決めました。すきま商品として育つことを祈って!!

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豊かさの定義

里の旅だより

このマチで一番大きな駅、JR豊肥線・三重町駅から引っ越してきて5日目。2キロ先には新鮮な食材が人気の「道の駅きよかわ」があるが、ここ清流・奥岳川沿いの仕事場の周りには何もない。

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ネット環境があり、仕事という意味では何不自由がない。少々不便といえば不便ではあるが、その不便は「未来の豊かさ」だと感じている。むかし流行った言葉で表現すれば、これは“リッチ”でさえある。

大きいことはいいことだ♪・・♪森永エールチョコレート・・♪ これまた古いがこの宣伝コピーの音楽にあったように、時代が求めるもの、20世紀型の豊かさは、大量消費の美徳だった。ところが今、美徳の尺度はそうではない。

「大きな~」と、喧伝するより「小さな~」を謳い上げる方が魅力的。プチな魅力である。ニッポンの魅力は間違いなく、そのようなスケール感に合致したところの所以であろうし、環境志向をくみ取った“消費”は、あらゆることが小さい。

NHKの人気旅行番組「ブラ・タモリ」などは、その典型的な類型で、京都や大阪は言うに及ばず、大東京を取り上げても「小ネタ」ばかりを探してる。「鶴瓶の家族に乾杯」然り。

家の前をよくうろうろしていた(昨年2月まで、自宅が上方落語の殿堂「天満天神繁昌亭」の目の前だった)鶴瓶さんは、自分を『どのように小さく見せるか』いつも腐心されているような方だった・・それはさて置き・・

ボクたちはいま、必死に商品企画してる・・大きく見せることより、小さな魅力の積み上げだが、これ、言うのは簡単だが、じつのところほんとうに難しい。骨が折れて「小さなつまずき」が連続し、「小さくしか前進しない」・・嗚呼!

そういえば・・東京ビッグサイトとかルール違反のでかさ、ボーイング787とか。

大きくってもいいか・・

太閤さんもやられたのかな?

里の旅だより

このマチには温泉がない。ただし、そこは温泉国ニッポン。車を30分も走らせばいたるところに温泉がある。行政区境がどこにあるかどうかなどまったく気にしていない観光ビジターにとって、「そのマチの温泉か」「隣町の温泉か」は、たいした話しではない。

で、その隣町の温泉にエゾエ君と行ってみた。ちなみに・・エゾエ君の出身地は滋賀県大津市の湖西側(琵琶湖の西側)で、このマチには地下深く無理やり造ったホンモノの温泉があるのだが、一分間にわずか数リットルしか湧出せず、限りなく銭湯に近いホンモノの温泉らしい・・

隣町の温泉は、基本「炭酸泉」である。大阪近郊・豊臣秀吉がひらいたという有馬温泉もたいへん有名な炭酸泉である。(行政区的には神戸市北部ではあるが、太閤秀吉がひらいた温泉なので大阪人は厚かましくも“大阪の温泉だ”と思ってる人多し)

こちらは・・その隣町の温泉に着き、先着していたお客様やその温泉の方としばし談笑。そのなかで気になることを案内された。曰く、「この季節、炭酸泉の露天風呂では、お尻に気配りを・・炭酸に反応する虫が多くなっていますので」・・なんのことだかわからなかった。

気持ちよく1時間余、露天風呂を楽しみ、豊後大野市三重町の長逗留先に戻ったらなんだかお尻が痒い・・その箇所6~7カ所。夜中、それはさらにひどくなり、腫れた。痒い痒いで朝が来た。

この時期に増える虫とはブトだった。そうか、ブトに目いっぱいお尻をやられたのか・・エゾエ君に問うと「ボクはどうもありません」との答え。ウ~ぼくだけか・・のちに聞いた話では、くだんの露天風呂でお尻を目一杯やられた入湯者には「幸運がやってくる」とのことらしい・・怪しい話!

ところがである・・そういえば、有馬温泉に通った太閤さんは天下の大立者で、幸運をつかんだ人。太閤さんも炭酸泉でブトに刺された?隣町の炭酸泉と日本三大名湯の一つ、有馬の炭酸泉。これは「温泉伝説」だったのか・・

いずれにしても、この話に“適切な写真”を添えることはできない。

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